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Perspective

3Dプリンターからの排出物の毒性

December 07, 2015| Von Charlie Kingdollar | P/C General Industry | Japanese | English

3Dプリンターと聞くと、ほとんどの人はデスクの上で小さなプラスチックの成型物を作る機械を想像し、軽工業的なプロセスと同等のこの装置が職場での健康に大きな影響を与えるものであると考えることは少ないでしょう。レナーテ・ケルペンが2015年10月のブログ投稿で2019年にはその売上が4倍まで成長すると予想しているように、健康への影響がさらに大きくなります。

しかし、3Dプリンターに使用される加工素材からナノサイズの粒子が空気に放出されるという研究が発表されています。それ以前の他の研究では、ある合成樹脂を3Dプリンターで使用することによりアンモニア、シアヌル酸、フェノールおよびベンゼンなどを含むガスが放出されることが指摘されています。

3Dプリンターで一般的に使用されているABS樹脂やPLA樹脂の新しい研究では、3Dプリンターの作動プロセスで発生する有害物質に並び、ナノ粒子も空中に放出されるというこれまでの発見が裏づけされました。

最新の研究(ファブリツィオ・メルロ博士とステファノ・マッツォーニ工学博士www.3Dsafety.org)ではさらに、この二つの異なる樹脂間でもその放出に大きな違いがあることが明らかになっています。

  • 実験室でのテストでは石油由来のABS樹脂は植物由来のポリマー、PLA樹脂に比べ毒性がはるかに高いという結果が示されています。そうは言っても、PLA樹脂でも200°C以上の高温で押出し加工された場合、その放出物の安全性は保証されるものではありません。
  • ABS樹脂を使用した場合のナノ粒子 5(直径が1ミクロンまたは100ナノメートルより短い粒子)の放出はPLAフィラメントを使用したときに発生する放出に比べ3~30倍という数値が出ています。ナノ粒子は肺胞と肺表皮に直接吸収される可能性があるものです。


毒性のあるVOC(揮発性有機炭素)およびナノ粒子の吸収により引き起こされうる人体への影響のうち、気管支炎、気管炎や喘息などの肺の病気が最も頻繁であるといわれます。中にはこれらの物質が特定の癌を引き起こす可能性さえも示唆されています。

3Dプリンターの操作を要因とする健康へのリスクが顕著であること、また換気を実行することによりこのリスクを低減できることは明らかになっているようです。メルロとマッツォーニの研究では押出しプロセス停止後空気中のナノ粒子濃度が通常のレベルに戻るまで10〜30分の時間を要することも指摘されています。

研究者は1時間当たり室内の空気量の3倍の量の空気を移動させることができる換気システムの使用を推奨しています。つまり、100立方メートルの室内には毎時300立方メートルの空気を換気できるシステムが必要となります。 そのような換気システムは、3Dプリンターを使用する産業界と商業環境には実践的なアドバイスのように聞こえます。しかし、学校、図書館、プリントショップ、家庭にも3Dプリンターが存在することを考えると、十分な性能を持つ換気システム、それどころか簡単な予防手段さえ取り入れられていない場合がほとんどであるのが事実です。

ナノ素材を吸入することにより発生する肺疾患および血液脳関門へのナノ粒子の侵入などその他の臓器への有害性に関しては既に指摘されています。3Dプリンターが経済的に大きな貢献をもたらすことが明確になってきている一方で、この新技術によるリスクの可能性をしっかりと把握していかなければならない時代が到来しているのです。

 

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